慈眼寺中庭改修工事10日目・・・完成
- 2013.12.30 Monday
- 20:17
さて、本日で今年最後の仕事日でした。
今年の最後は禅寺での作庭工事。そして完成。
目地を入れ終わった丹波石の石張り。
そして庭の前面に植えた細いモミジ。
玄関側から見たモミジです。・・・・見た目は細いモミジと、2本立ちのモミジというだけ。
しかし、後のマジックミラーに焦点を合わせて写りこんだもみじを見ると・・・。
手前のモミジが90度に曲がったところが移り、右側のモミジも大きく「くの字」になって見え、しかもその二本のモミジがカギカッコの様に形どりその真ん中に同じく写りこんだ滝が見える様に配植しました。
現実に見えている部分だけが真実とは限らず、人も心も”心眼”で見れば如何様にも姿を変え、奥に眠る心理があるのだと言う意味を込めた。そして何気ない只のか細い木にしか見えなかった2本のモミジが鏡に写りこみ、額縁状の枠の中で龍門の滝を見ることが出来き、自己の心を柔軟にし解脱せよ。という禅の心を少し庭で表した。
何故只の滝が龍門の滝かというと、(浬魚石もないのに)それはこの苔の部分に秘密が。
苔を植えた部分の全体図。龍が横たわっている姿を抽象的に表した。
苔の部分は胴体で苔に起伏と龍の背のうねりをつけた。イジュという中木は2本立ちで龍の角を、ホソバヒイラギナンテンが目を、際に植わっていたリュウノヒゲはそのままに龍の髭を表し、既存の六法石の護岸は龍の腹を表しています。鯉が荒い滝を登ると龍に変化し昇天するという中国の逸話。禅僧の修行を表す古典の龍門爆(りゅうもんばく)、しかしこの庭の滝には鯉が滝を駆け登る浬魚石が無い、そうです、この庭では既に鯉が龍となり、他の鯉が続いて滝を登りきるのを優しく慈愛の心で龍となった鯉が他の仲間を見守っているという姿なんです。
そして、モミジは脚を表し、その腕に抱かれるように滝を映し出すという演出です。
今回の作庭では、石張りは建築家さんと和尚様の設計でしたし、私は植栽のみで「禅味を感じる庭を作って欲しい」と依頼されていました。
それは非常に難しいことでした。そして、不流文字に教外別伝の禅宗の教えがあり、今回の庭に込めた意味を和尚さんには伝えていません。「以心伝心」を私は願い、禅の精神にのっとり、只管に何に於いて禅的な意味を持たせることが可能かを考え、購入した樹木の中から現場で何度も何度も遠くから離れて見ては、模索し今回の庭にしました。
そして今回の応えにいきついた・・・・。
色々と制限の多い現場でしたが、自分なりに精一杯、御仏の為に作庭した現場です。
よっしゃ!!作庭終わったぞ!!そして今年の仕事も終わった!!
最後に年末の忙しい中、参加してくれた神奈川の庭師に感謝。
相模原市の須田さん、セイヤさん。平塚市の西窪さん。茅ヶ崎市の犬塚さん、藤沢市の今村さん。同じく藤沢市の徳長さん。逗子市の久保田さん。小田原市の相田さん、白井さん。
皆様本当にありがとうございました。