中庭の設計

  • 2013.10.08 Tuesday
  • 17:20
 さぁーて、残解雇のブログで紹介した様に、私は8月から少し規模の大きな作庭工事の設計をしておりました。

そんな打ち合わせが昨日漸く終わった。

以前の設計では”流れ”は作りたくないとの指摘を受けまして(お施主様の希望が井戸を使った流れだったのですが)新たに2つ図面を立ち上げました。

001 (500x389).jpg
その図面の一つ目の提案がこれです。題名は「天川交流庭」てんせんこうりゅうてい

天の川がサビ砂利部分です。大切な人と一年に1度しか会うことの出来ない天の川ですが、家族や大切な人と遮蔽があるように見えるけれど、一つの扉(枝折戸)を開けばいつでも会うことが出来るよ。というテーマを持たせています。

少し以前の設計よりもモダンな造りになっています。

中央のみサビ砂利として、常緑樹を植えることで奥行きを演出し、低い創作松明垣と光悦寺垣で仕切りを設け、アイ・ポイントを巧に散らしました。

図面の上の靴脱ぎ石からの伝いは、洗い出しと丹波石張り、諏訪鉄平の乱張り、瓦埋め込みと変化をもたせ、建物と並行する濡れ縁からわざと斜め方向に石張りをして!四角過ぎる空間を軽減しつつ、三角形と四角のラインを無理なく納めてみました。

003 (500x454).jpg

こちらがそのラフ・スケッチです。平面図から直接一定方向に立ち上げる図面の書き方です。

大正時代の古材御影平板を使用し、モダンながらも古き良き品物をあしらった設計でした。

002 (500x356).jpg

もう一つの設計が此方です。題名は「月庭月読降臨」げっていつきよみこうりん。

そう、月と神具:勾玉を表し、かの三柱、天照大神・スサノオ命・月読命の3神の中の女神の庭です。

先程の図面よりもスッキリとしています。

中央よりやや左に移植されているシダレウメを使うことにして、排水を考えて敷地内に高低差を設け、本小松石で土留めをつくりその中に”石筍(せきしゅん)”という弊社が先代より好んで使っていた中国の変った石を景石として立て込みます。筍のような形をした石です。

曲線は”勾玉”をイメージしています。清浄な白砂利と地元の石で神道に因んだ宝物をイメージさせてみました。

お施主様が神道にも深く関わっておいでであったので、このような設計にしてみました。

図面上では書いていませんが、植栽にも低木として”鎌刈りの榊”を植えることとし、ナギなども植える予定でした。

昨日この2つの図面でプレゼンをしましたが、結果は・・・・殆ど見られることも無く玉砕です(笑)ですからこうしてこのブログに載せる事が出来るのですが。

折角、魂込めて設計をしたので、日の目は見なくてもこのブログ上だけでも、公開できればと思いました。

ではでは、この中庭はどうなったかといいますと、当初設計の”流れの庭”を枯れ流れの庭で作庭させていただくことになりました。

井戸はこの中庭に元々有りますが、お施主様が使いたくないという意向により、手汲みポンプをイミテイション(擬似装置として)付けることになり、あとは当初設計の一部は削除し、大まかな部分で施工することになりました。

そんな当初設計のお庭にも勿論題名が付けられています。


此方が今回施工することになった当初設計。

題名は「輪廻庭 副題:鎮魂」りんねてい ちんこん。

当初設計は井戸の水を循環させる予定でした。それを踏まえて、命の源が湧き出る生命の泉が地蔵菩薩の梵字が彫られている水鉢から命の水が溢れ出し輪廻の様に”円”を描き大河を流れ、それはまた地中に帰り(井戸に戻り)また新たな息吹として再び沸き出でる。というテーマを持たせています。

そして、副題として鎮魂というテーマを持たせています。

今回のお施主様は元々この地で養鶏を営んでおりました。

そこには数多の生命が生まれ、そして亡くなっていったことでしょう。

家は新築になり、暮らしも変り養鶏をすることもなくなりました。しかしこの地では先祖の皆様が生業として動物と暮らしてきた事実があります。

そんなお施主様の家業に思いを馳せ、庭師としてそっとその”想い”を汲み、シダレウメの円形を中心に、湧き出る梵時の水鉢を鳥の目とし、石組みを鳥の鶏冠状に組み、抽象的に庭鳥の形を流れ全体で表したのがこの庭です。

私は禅を学んでいるせいなのか、このような深い意味合いまでもはお施主様には伝えることはありません。

それには禅宗特有の四聖句「不立文字・教外別伝・見性成仏・直指人心」があるからです。

言葉では伝えることの出来ない教え「教外別伝」に当るからかもしれません。

しかし、私はいつも庭を設計する時、ある一つのテーマを持たせて庭を設計します。それはお客様と何気ない会話の中から様々な事を汲み取り、庭師として自分が出来る事を、”庭という職業を通して、目に見えない何か”を空間で表したいからです。

そして、自分の思う庭、それはあくまでも”庭師のエゴにならない無理の無い空間”それが私の、霧島宏海の生み出す庭です。

今回はこの"流れ”は無くなりましたが、それでも”目に見えないながらも流れる輪廻の川”を表現できればと思っています。

今月にはこの庭から着手することになりそうです。その後は主庭に取り掛かり、外観を彩る”城積み”作業に取り掛かろうと思います。

今回も、このような機運に恵まれた私は実に幸せ者であります。

庭師として、そして庭師が庭師であるために、心を込めて愛弟子たちと作庭して行こうと思います。
コメント
kouさん、そう仰らずに是非是非訪ねてくださいね!

待っていますよ!
  • 霧島宏海
  • 2013/10/10 9:54 PM
お疲れ様です
真剣勝負の最中にお邪魔はできませんよ(汗)


霧島さんの作庭コンセプトすごく共感します
また一つ霧島さんの代表作ができますね

霧島さんの分かりやすい解説ブログ期待しています
  • kou
  • 2013/10/09 10:31 PM
こんばんはKouさん!そう、主庭はもっとシンプルな庭ですが、全部で3つの工事を作り上げます。
是非遊びに来て下さいね!(施工中に)
勿論、作業着でですよ(大笑)
見学といいつつ作業を手伝ってもらう気満々です(笑)
  • 霧島宏海
  • 2013/10/09 6:54 PM
お疲れ様です

凄い作品ができそうですね、図面とは別に主庭もあるんですね

出来たら、作品を生で見させていただきたい

そう思わせる作品です


凄い
  • kou
  • 2013/10/08 9:36 PM
こんばんは香里様。ありがとうございます。まだ契約書は交わしておりませんが、施工が出来そうです。そうですよ。宝物です。キンモクセイの香り・・・遠くから風に乗ってきて香るくらいが丁度良いですね(汗)
  • 霧島宏海
  • 2013/10/08 6:58 PM
こんばんは!
まずはお仕事させて頂ける事になって良かったですね(^-^)おめでとうございます。
お施主様の意向をくみ取り、ひとつの庭を作るにも、いくつもの設計を考えなければなりませんね。例え日の目を見ることのない設計も大切な宝物ではないでしょうか?

我が家の庭の金木犀も知らない間にあの香りでいっぱいです。朝早く出て、暗くなってから家に帰るので、最近は庭を見る余裕がないのが残念です(汗)

これからも頑張って下さいね!
  • 香里
  • 2013/10/08 6:01 PM
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